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東日本大震災に伴い全国に避難されている方々のための地域情報サイト

ブログ:生活協同組合 コープあいち

東海への広域避難の現状と課題を学び、支え、考える。

コープあいちの向井です。今回は、愛知県小牧市と岐阜県内の支援団体のネットワークの様子を紹介します。

(小牧市)「ボランティア勉強会第二弾」と「ふれあいひろば小牧」

1月17日(日)、愛知県の小牧市社会福祉協議会主催で、「東日本大震災『故郷を離れて』〜4年10ヶ月の想い〜」と題してボランティア勉強会が開かれました。「ボランティア活動の意義や必要性について理解を深め」「活動を続けることのモチベーションを高め、ボランティア活動の活性化を目的」に年3回開催されている勉強会の第二弾です。会場いっぱいに80名近くのボランティアが参加しました。

愛知県被災者支援センターから「愛知県への避難と支援の現状」が報告された後、いわき市から避難した吉田拓也さんからは「3.11 あの時の福島〜愛知への県外避難、そして今」として、アースデイいわきの復興イベントを通していわき市の素晴らしさを伝えていることが熱く語られました。原発事故により避難するまでの刻一刻を伝える情報のやり取りが印象的でした。栃木県から避難した井川景子さんからは「あのとき、小牧の人に支えられてなんとか元気にやっています」として、小牧のボランティアさんの言葉でどんなに励まされたか。また、原発事故から避難した想いを綴った「愛する土地を離れて」が県下の学校の図書館に置かれていることなどが紹介されました。

2月28日に小牧市社協のある「総合福祉施設ふれあいセンター」で、避難の理由に関係なくだれでも参加できる「ふれあいひろば小牧」第10回目が開かれることも紹介されました。名古屋めしづくりにチャレンジしながらわいわいがやがや交流するとのこと。ひろばは年4回開かれ、同市に避難した方を中心に、婦人奉仕団、マーブルの会、ココボラ(高校生のボランティア)、コープあいちと小牧市社会福祉協議会による実行委員会のつながりが定着してきています。

避難生活の課題が、子どもの様子、仕事の変化、家庭の悩み、高齢家族の介護など日常生活に現れるようになっています。小牧市のように社会福祉協議会が市民(ボランティア)の理解を高め、避難者の居場所となり、各団体のつながりを支えていることはとても心強いと感じました。

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311県外避難者について考えよう in ぎふ

1月15日(金)岐阜県の支援団体が集まり、2月28日(日)岐阜市内で開催される「311県外避難者について考えよう in ぎふ」の打合せが行われました。
イベント案内HP:311県外避難者について考えよう in ぎふ

前半部分の「避難者の現状や支援について知ろう!」では、岐阜キッズな(絆)支援室さん実施の無償塾(寺子屋)に参加しているお子さんの作文朗読があります。今回の打合せで、子どもたちが練習しているウクレレの演奏もしていただくことが決まりました。参加者も一緒に歌える曲を選び、会場全体での合唱となることが期待されます。避難・移住者の方の現状のお話、コープぎふのクラブで避難者の組合員さんがしている活動のお話もあり、様々な方の現状を伺うことができそうです。

後半部分の「できることを考えよう!」では、今後の支援に向けて横の繋がりを作るためのグループディスカッションがされる予定です。「1回の意見交換で終わりでなく、今後に繋がるようにするにはどうすればよいか」「5年・10年先について皆で考える必要があるのでは」「避難者の生の声をもっと知ってもらいたい」「地域毎の核となる支援団体と避難者を繋げたい」など、打合せに参加された団体から活発な意見が沢山でていました。

岐阜県では、支援団体に属する個々の繋がりがあっても一つのネットワークにはなっていません。今回の企画では、岐阜県内の様々な支援団体が企画運営に関わっており、これを機に団体同士の繋がりも深まることが期待されます。現在、参加者の募集がされていますので、ご都合のつく方は是非ご参加ください。

このような避難先の支援ネットワークは必須ですが、最近は県外に避難している方と避難元都道府県との関わりの大切さを感じます。

現在、東海4県には(各県発表では)10都県から約2600人が避難しています。多い順に、福島県1578人、宮城県464人、岩手県206人、茨城県162人、千葉県57人、東京都35人、埼玉県29人、栃木県24人、神奈川県18人、青森県6人です。このほか、33名は内訳が発表されていません(注1)。

愛知の事例ですが、このうち県外避難者支援の職員が(交流会等に)来られたのは岩手・宮城・福島の3県です(注2)。7都県と(例えば茨城県からは4県にそれぞれ20名〜60名が避難されているのですが)県外避難者との意識的なつながりは見られません。

自然災害の規模や避難者数によらず、また原発事故であればなおさら、県外避難せざるをえない県民への情報提供や避難後の生活見通しの把握はされるべきではないでしょうか。現在の登録情報で可能なことです。今後に向けては、各都道府県(市町村)の受入被災者登録制度を共通のものとすること、行政サービスを受けるための住民票移動と災害時の被災・避難による居住地移動を双方把握できる制度を整備することも必要です。東日本大震災から5年目を迎える今、「被災・避難された方々の経験に真摯に学ぶ」ことの一つとして、考える次第です。

(注1)三重県:435人。岩手県115人、宮城県51人、福島県176人、茨城県60人、その他33人。(昨年12月31日現在)
岐阜県:270人。岩手県2人、宮城県50人、福島県183人、茨城県20人、千葉県6人、栃木県6人、東京都3人(昨年10月31日現在)
愛知県:1071人。青森県6人、岩手県56人、宮城県181人、福島県650人、茨城県46人、栃木県15人、埼玉県29人、千葉県40人、東京都30人、神奈川県18人(昨年12月31日現在)
静岡県:836人。岩手県33人、宮城県182人、福島県569人、茨城県36人、栃木県3人、千葉県11人、東京都2人(今年1月4日現在)

(注2)岩手・宮城から避難されている方の「気軽にお茶飲み交流会」には、岩手県と宮城県の県外避難者支援の職員が参加しています。いわき市から避難している方による「いわき市交流会」にはいわき市から参加されました。

報告:県外避難者について考えよう in みえ

東日本大震災から5年目となりますが、東海4県には約2,800人避難されてきている方がいらっしゃいます。避難してきたことを伏せている方もおり、更に多くの方がいらっしゃると推測されています。そして、被災地域の復興にはまだまだ時間が必要と言われており、県外避難者の環境は避難元や避難先、避難原因(地震、津波、原発事故)、家族の状況等によりますます複雑化、潜在化しています。

そんな避難者の方の現状を知り、避難者が孤立することなく安心して生活をおくるためには、どんな支援体制があればいいかみんなで考える会が9月6日(日)三重県で実施されました。参加者は約40名、当事者団体、当事者の方、支援団体、NPO、協同組合、社協、一般の方などが参加されました。

第1部では「三重県に来られている避難者や避難者支援の現状を知る」ことをテーマに以下の内容が行われました。

1. 基調講演「孤立防止!寄り添い支援事例」

NPO法人えひめ311の澤上幸子さんを講師とし、四国での避難者ニーズ調査結果や、おせったい訪問(個別見守り訪問)、お遍路カフェ(交流会事業)など、一人ひとりの心に寄り添う活動、当事者主体の支援等について参考となる事例を伺いました。

2. パネルディスカッション「避難者×当事者団体×支援者、それぞれの声」

三重県に避難されて来た方2名、三重県に避難されて来て保養活動も実施されている「なな色の空」の村上さん、三重県の避難者支援団体のネットワーク組織「311みえネット」の木田さんから、現在の暮らしの状況や課題、活動に関するお話を伺い、そして今後の支援ではどんな連携があればよいか話し合われました。

3. 三重県内の各支援団体活動紹介

三重県で避難者支援活動等をしている各団体(支援団体、NPO、協同組合、社協など)の活動報告があり、避難者支援、移住支援、保養活動など、それぞれどんな活動をしているか、そしてどんな課題を持っているか共有する機会となりました。

第2部では「三重県における避難者支援について考え、横の繋がりを作る」ことをテーマにグループディスカッションが行われました。「避難者の孤立を防ぐにはどうしたらよいか」「自分にできることは何か」ということをみんなで考える機会となりました。

参加者された方々の感想

  • 避難者の方の生の声を初めて聞きました。実際の恐怖はよくわからないが、目に見えない放射能の恐ろしさや、家族が離ればなれになる寂しさなど、感じることができて良かった。
  • 全て支援というのは大変だと思うが、辛い時、困った時、頼っていい人がいるだけで気持ちが全然違うと感じた。
  • 行政に求めるものと、支援団体に求めるものの違いから、私達の出来ることを考える機会になった。
  • 澤上さんの講演を聞き、当事者が動くからこそ周囲も動くことを再認識した。
  • 地域密着型のこのような機会が増えることを希望します。

10月30日(金)には、愛知県にて当事者団体の活動報告をメインとした報告会も実施され、今後、東海の他地域でも同様の会が実施されていく予定です。この各県での報告会をきっかけに今後の東海地域での支援体制をみんなで考えていければと思います。

ひとりのために力をあわせられる地域社会をめざして

一. 自己紹介

コープあいちの向井です。大震災から4年経過、避難されている方も支援に関わる方も体調はいかがでしょうか。私事で恐縮ですが、私の父は牧師で74歳の時長田町で阪神大震災に遭い、仮設住宅と復興住宅で単身生活を送り2003年6月に他界しました。父は高齢者が孤立する仮設住宅の生活環境や、社会的つながりを喪失した生活の及ぼす影響を機会あるごとに記しています。それは私の一つのものさしです。東日本大震災・原発事故からの生活再建はさらに長期にわたるであろうことを考え、肩の力を抜きつつも、今後につながる環境づくりに努力しているところです。私が関わっている愛知県被災者支援センターで大切にしてきたことと、私自身の思いを紹介します。

二. 全ての世帯の健康状態や生活状況をお聞きできる関係をつくる(全世帯訪問)

避難生活が長期化していることから、愛知県被災者支援センターでは昨年度、保健師とともに受入被災者登録している全世帯訪問を行いました。その概要は以下のようです。

1)愛知県内の登録避難者は456世帯1,116人です。(5月31日現在)
◯福島県が最も多く6割を占めます。岩手県、宮城県、福島県の他に、青森県、茨城県、栃木県、東京都、千葉県、神奈川県、埼玉県からの避難者もいます。

2)平成26年度に生活状況を把握する個別訪問を行いました。
◯愛知県被災者支援センターでは、名古屋市以外に居住されている282世帯に対して、保健師・市町村担当者・センター職員でチームを組み7月21日〜3月27日に訪問を行いました。訪問または電話の聞き取りができた世帯は、計164世帯(94%)でした。
◯名古屋市に居住されている193世帯に対しては、市の保健師による訪問が6月9日〜7月18日に実施されました。(訪問または電話の聞き取りができたのは139世帯(72%)でした。

3)個別訪問の結果(愛知県被災者支援センターで訪問できた203世帯について、個別訪問で把握した状況より)

  1. 世帯主の性別・年代等について
    • 世帯主は男性56%、女性44%です。
    • 世帯主の年代は多岐にわたりますが、20代〜40代が約7割です。
    • 大震災後に子どもが誕生した世帯の割合は19%です。
    • 配偶者と離れて暮らす母子父子避難が10%、母子父子世帯が8%です。
  2. 同居家族の健康状態について
    • 「健康状態がよくない」家族がいる世帯は23%です。
    • 思ったように睡眠がとれていない家族がいる世帯は30%ありました。
  3. 近所づきあい・交友関係・悩みが話せる相手について
    • 近所づきあいが、家を行き来する等「活発」である回答は27%、「あいさつ程度」が47%、「ない」は14%でした。
  4. 生活再建について
    • 正規職員が世帯にいる割合は44%でした。また、非正規職員・パート職員が世帯にいる割合は21%でした。
    • 今後の見通しについては、「愛知県への定住希望’が37%と最も多く、「帰還したいが、時期は未定」が10%、「未定」は34%でした。
  5. 今後必要な支援について
    • 訪問で「要支援度が高い」「緊急度は高くないが、支援や見守りの検討が必要」と訪問者が捉えた世帯は31%でした。
    • 自治体への相談(ある:19%)以下抜粋

      ・子育てに関わること(入園希望・進学について)
      ・ 医療(医療費助成、医療機関がわからない)
      ・ 住宅(公営住宅入居希望・住宅の借り上げ制度)
      ・ 生活保護について
      ・ 就職情報(市の臨時雇用、ヘルパー関連の職)
      ・ その他(市の情報が入らない、町内会の加入方法、避難者間の交流を希望)

    • センターへの相談(ある:23%)以下抜粋

      ・話し相手・相談相手がほしい(避難元が同じ方、同世代の方と交流したい等)
      ・ 精神的に不安定な状況下における必要時の支援
      ・ 子育ての相談(不登校、いじめ、出産後サポート)
      ・ 放射線の健康被害に関する医療機関の情報等
      ・ 就職情報(現職離職後の不安)
      ・ 生き甲斐の場・ボランティア活動)

訪問結果から要支援度の高い方の割合が少なくないと実感しました。愛知の固有性ではないと考えられることから「世帯訪問は、登録情報を把握するすべての団体・機関が行う」ことが望まれます。また「それが可能な部署・組織が登録情報を扱う」時期にきています。加えて、被災・避難生活に起因する困難を抱えておられる方々に、安易に「避難すべき状況ではない」等の言葉を伝えるべきではありません。

三. 「一人ひとり」を支え、力になれる多様な相談支援体制をつくる。

  1. 愛知県被災者支援センターで、2011年7月に発足したパーソバルサポート支援チームは、その都度に共通する課題について話し合い、また具体的な相談支援に関わっています。隔週水曜夜のミーティングは、今年7月15日で94回目となり、課題に応じて新しいメンバーが加わってきています。
  2. これまでの特徴的な関わりを紹介します。
    1. 震災直後から、弁護士会・司法書士会・法テラスによる支援制度の相談がスタートしました。電話だけでなく、交流会に参加したり希望世帯に訪問しての相談も行いました。原発事故の損害賠償のADRや損害賠償裁判では、弁護団が継続的に説明会を開催しています。
    2. 放射線による健康被害に関する健康相談や甲状腺の診察では、医療生協を始め理解ある医師・看護師の皆さんの相談会が開かれています。昨年は、放射線影響や震災に伴う心身状況や疾病に理解ある医師・医療機関を増やしたいという願いから、愛知県保険医協会と協力して機関誌で6回にわたって避難・被災の実際を連載しました。
    3. 心のケアでは臨床心理士会が継続的に無料相談を案内し、交流会等にも参加して食事の機会も活用しながら声を聞いています。支援に関わるスタッフも臨床心理士さんから「世帯訪問の心構え」を学習び、また面談をうけてセルフケアに勤めています。
    4. 外国人避難者について、日本語が話せる方でも翻訳・通訳が必要なことに気づき、外国人支援の専門家や団体との協力関係をつくりました。福島県によるWBC検査の案内や、支援センターからの「近況アンケート」を翻訳・封筒にも母国語で記載して届け、回答が増えています。中国語、タガログ語など幅広く対応できる大変力強いネットワークで、訪問時にも協力を得ています。
    5. 全世帯訪問では保健師が大きな力を発揮しています。訪問前には、陸前高田市で長期派遣保健師として従事した方から、避難生活と支援課題の変遷について学びました。訪問は、市町村担当職員と、保健師、センタースタッフの3名体制とし、行政保健師の都合が合わない場合は在宅保健師会の協力で訪問体制をとりました。
    6. 生活の自立にむけて、母子自立支援、キャリア支援員。日常生活では「くらしたすけあいの会(子育てや家事援助)」「ライフプランアドバイザー(FP、家計相談)」「ケアマネージャー(介護認定など)」が、交流会の相談コーナーに参加しています。
    7. 食品の放射線検査では、東海コープ商品安全検査センターなど全国の生協の検査機関が協力して行っている「食事摂取量調査(陰膳方式)」の結果を紹介しています。
    8. 一昨年と昨年の大交流会の相談コーナーでは、分野の異なる相談員が複数で相談をうける体制をとり、相談員相互の学び気づきになっています。

一人ひとりの声をお聞きしてそのニーズを開示すれば、より多くの相談支援者が関われることを実感しています。そのような関係を適正かつ有効に進められる力が求められます。

四. 市町村圏域で、一人ひとりをサポートできる環境をつくる。

  1. 広域避難の生活が抱える多様で複合的な問題は、行政機関だけで受け止められるものではなく、民間も含めた柔軟な連携が不可欠です。愛知県被災者支援センターでは、今年度の課題を以下のように考えています。

    現状:震災から4年が経過しても、不安定な状態に置かれた方が多く、生活状況は日々変化している。受入被災者の避難生活が極めて多様化しており、多様なセクターによる包括的な支援体制の構築が急務である。

    目的:受入被災者の生活状況を把握し、昨年度の状況を踏まえ、個別支援につなげる。多様なセクターと共に地域で受入被災者を支援する体制づくりを進める。

  2. 受入被災者の在住する市町ごとに、各世帯の状況をもとに支援体制について協議を行い、健康状態や生活状況を確認し、困りごとの相談等を行うための進め方を相談しています。さらに多様なセクターによる支援体制をめざし、9月には個別支援のための研修会を開催します。そうした積み重ねにより、市町村等の条件に応じて、市町村担当者、同福祉部局、保健師、社会福祉協議会、民生委員、児童委員、地域包括支援センター、NPO、協同組合、その他専門家及び支援団体等が有効に関われる関係づくりをめざしています。

    「広域避難」における個別支援は初めての経験であり、研修や情報共有の進め方も創造の途上です。

五. 当事者の力を生かす。

重要なのは、こうした環境づくりが被災当事者の参画のもとで進むことです。私自身は、大震災と原発事故で突然に余儀なくされた被災・避難生活に対して、一人ひとりが自分の意思で選択し判断し生活設計できる環境を整えることを重視しており、外在的な施策で追い込むことを是としていません。つながりをつくり、それぞれの持っている力や関心を生かすこと心がけています。事例を紹介します。

  1. 「子どもたちに農業体験をさせたい。」農園を借りて、サツマイモを植えて苗植え、収穫体験を企画。
  2. 「誰とも話せない。」本人の気持ちにあった交流会を企画して、同じ気持ちの方に呼びかける。
  3. 「母子避難・中通りのママの会をつくりたい。」発信者を交えて、避難世帯と支援者により、自主避難の方の気持ちを共有するワークショップを行い、同様の気持ちを話し合う場を県内数カ所で開催。
  4. 「パッチワークなど、趣味を生かしたい。」生きがい支援事業として補助制度をつくり、定例の講座の主催者に。生涯学習センターの教室の講師に。
  5. 「大震災・原発事故の避難経験を生かしたい。」地元の防災学習の講師に。自治会で避難所体験を学ぶ講師に。幼稚園のPTAで震災・原発事故の体験を聞く会を企画運営など、多数。
  6. 「震災・津波被災者の交流会」「同じ出身の交流会をしたい。」岩手・宮城交流会やいわき市交流会を開催し、宮城県・岩手県、いわき市からも担当者に出席いただく。
  7. 「仕出し屋をやっていた。」交流会での料理の講師に。「手作り餃子は得意(中国から日本へ)。」流会での餃子づくりの講師。
  8. その他にも「屋内の電気配線の相談なら」「大工でボランティアできないか」「美容師で子どもの髪のカットのコツを教えたい」「子どもの預かりならできそう」「実家にいるので、近隣に避難した方の支えになれば。」「(若い世代の)女子会を開きたい」など、いろいろな声を伺っています。

「三、多様な相談支援の体制」や「四、市町村圏域で一人ひとりをサポートできる環境づくり」は、そこに東日本大震災・原発事故という大変な体験をされた方々の生活経験が生かされてこそ、確かなものになります。それは「広域避難者の支援」を日常生活で「一人のために力をあわせられる地域社会づくり」に生かせる保障でもあり、国や地方自治体が直接その声を聴き生かすことが望まれる次第です。

広がれ!明日を励ますネットワーク(三重・岐阜発)

こんにちは、今回は三重県と岐阜県の二つのネットワークを紹介します。

地域やセクターを超えてつながる「311みえネット」

移住・保養などで避難されている方の環境は、複雑化しつつ潜在化してきています。三重県では、県内の支援に関わる団体(行政、企業、社会福祉協議会やボランティア団体等NPO)が、地域やセクターを越えて手をつなぎ、活動や情報を共有しながら避難されている方に寄り添っていく必要があると考え、2013年12月にネットワーク組織「311みえネット」を立ち上げました。

立ち上げ時には、県を通じて311みえネットの案内と登録ハガキを県内全避難世帯に送付し、登録申込みのあった避難世帯に対し、情報紙「Mie tell(みえてる)」をお届けして、各支援団体が行っているイベントや活動状況などの情報をお伝えしています。12月に発行した最新号(第3号)では、福島県主催の内部被ばく検査や、夏から秋に各団体が実施した保養や避難者交流会の様子、新規加入団体の紹介などを掲載しています。また、避難者の方へメールマガジンによる情報提供も随時実施しています。

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9月に津市と四日市市で行われた福島県主催の内部被ばく検査では、県と連携してサポートルームを設置しました。サポートルームでは、検査後にゆっくりとお茶を飲みながら休憩やお話をしていただき、福島県が設置した保健師や臨床心理士、避難者支援担当職員による相談室を親御さんが利用されている間の託児部屋としてもご利用いただきました。当日は、今まで他の避難者や支援者の方と繋がりがなく、震災について話せる相手が家族以外にいなくて辛い思いをしていたと話される方や、これを機に新たに311みえネットに登録された方もいらっしゃり、311みえネットとしても新しい繋がりを作るよい機会となりました。

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311みえネットでは、2〜3ヶ月に1回会議を開き、参加団体のメンバーが顔を合わせ、今後の活動に関する情報共有や意見交換をしています。県内各地で活動する団体が、それぞれの地域の避難者の方に寄り添うとともに、県全域でのサポートもできる体制を整えていきたいと考えています。既に地域に馴染んで生活を立て直している方もいれば、いまだに孤立して寂しい思いをしている方もいらっしゃいます。置かれている状況は様々ですが、三重県に避難されている方が少しでも安心して生活していただけるようになることを願い、取り組んでいきます。

岐阜 毎週土曜日に「てらこや無償塾」

岐阜市では、毎週土曜日に、キッズな(絆)プロジェクト「てらこや無償塾」が開かれています。運営するのは、キッズな(絆)支援室。退職教員や学生ボランティアによる無料の学習塾(無償塾)で、母子家庭や生活保護家庭児、外国人保護者世帯の子ども、学習困難児、障がい児など、様々な困難を抱える子どもたちが参加していますが、東日本大震災で岐阜に避難してきている親子にとっても毎週集まれる場になっています。

2014年9月27日(土)無償塾を訪問し、東日本大震災より岐阜に避難されている方から、直接お話しを伺う事が出来ました。ほとんどの方が子どもの健康の心配から避難されていました。震災から3年が立ちましたが、「てらこや無償塾」に行くようになってから、同じ悩みをもっていて気持ちの共有や、なによりも子どもが笑顔になり、親自身も笑顔に慣れた。友達が出来たりして、自然と地域とのかかわりも持つ事が出来て、岐阜に慣れる為の手助けとなりました。ここに来ると安心できるようになり、とてもありがたいと皆さん、笑顔で話をしてくださいました。

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キッズな(絆)支援室は、岐阜市で活動しており、その事業内容は三つあります。

  1. 毎週土曜日に「てらこや無償塾」の開催
    ・ 岐阜市の円徳寺にて無料の学習塾
    ・ 月1回は「お楽しみ企画」として、社会体験学習
  2. 子どもの正しい食生活の推進
    ・ 子ども達に対して、免疫力を上げる健康な食事を提供
    ・ 月1回は調理実習を行い、自分で出来ることを増やし、生きる力をつける
  3. 「無償畑」活動で、自然農法による野菜の栽培体験

「てらこや無償塾」では、退職教員らの学習支援者が、マンツーマンで子どもの学習を見ています。東日本大震災の震災体験と慣れない岐阜への転居・転校による様々なストレスを、岐阜の大人が受け止め、支援することにより、精神的な安定と生活態度の改善・学習意欲の向上につながると感じました。また、地域で行き場がない子ども達にとって、友達との交流の場にもなります。全国的に、こうした地域での低学力児や学習困難児の支援の無料塾が少しずつ広がっていますが、岐阜でのその先駆的な活動として、継続的に活動を行っている「てらこや無償塾」は、東日本大震災で避難している方にとってもかかせない場になっています。

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活動の拠点を無償提供いただいている、岐阜市中心部にある円徳寺(岐阜市神田町6-24)。ここで「てらこや無償塾」が毎週土曜日に行われています。

静岡県「臨床心理オフィスBeサポート」「地域づくりサポートネット」の取り組み紹介

こんにちは、東海地区地域調整員のお手伝いをさせていただいています増田です。私自身も関東地方より名古屋へ自主避難をしていますが、地域調整員の向井さんにお声掛け頂き、微力ですがお手伝いさせていただいています。避難者といっても津波避難者、原発避難者、強制避難、自主避難とそれぞれに事情を抱えており、必要な支援も変わります。少しでも実感を持って接することによりそれぞれの助けになればと思っています。

静岡県内での避難者の数 ⇒ H26. 7/7現在で987人と1,000人を下回るようになりました。先日訪問しお話を伺った支援団体で、沼津市を中心に活動しているNPO法人 臨床心理オフィスBeサポートと浜松市を中心に活動されているNPO法人 地域づくりサポートネットの活動内容について今回はご紹介します。

NPO法人 臨床心理オフィスBeサポート

NPO法人立ち上げ準備時期と震災発生が同時期にあり、被災者支援活動「OHANA」は避難してきた子供たちの夏休み中の居場所となるために活動を開始、最初は1家族から展開し、現在は静岡県全域から参加希望があり2014年8月末までの交流活動は29回実施し、のべ400人以上が参加に至っています。

ちょうど「OHANAのあゆみ」という冊子を発行したところとのことで、それをもとにたくさんのお話を聞かせてもらいました。被災地での心のケアに比べて避難者向けの活動は少なく、また、新生活のストレスや避難に対する負い目や親族間でのすれ違いなど、避難者特有の感情もあり、専門的な知識に裏付けされた心の支援は本当に有難いことだと思います。

子どもたちの心のケアを目的としつつも、特別なことをあえてせず「寄り添う」ということを意識して、子どもたちには「遊び」を通して、大人たちには「おしゃべり」を通して同じような経験・立場同士で気負わずに過ごす時間をとても大切に進められていた様子。避難者同士・またはスタッフと少しずつ心が通うようになると自然に震災の話や悩みなどが聞こえてくるようになったとのこと。

また、ずっと行事案内をもらっていても参加する気になれずにいたが、案内をもらっているだけで繋がりを感じることができた。2年経ってようやく参加する気持ちになれたという方もおられたようで、支援を継続すること声を掛け続けることの重要性も語ってくださいました。

帰り際、夏休みという事もあり夏休みの児童預かり事業「OHANA学校」の参加者の男の子たちが照れた表情で見送ってくれました。彼らがこういった支援を通して、安心して成長できる環境・大人たちに囲まれて過ごしていって欲しいなと思いました。この「OHANA学校」は子供達の生活や学習支援のみならず、避難先での母親の就労と家庭経済の支援という側面も持ち合わせています。

「OHANAのあゆみ」冊子内で災害後のストレスについて丁寧に記述されているため、支援者にとっても避難者自身にとっても心の動きに対する気づきとなると思います。

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NPO法人 地域づくりサポートネット

市民の視点からの街づくりを目標に行政・企業との橋渡しとして活動しておられた団体で、現在まで多岐にわたって支援活動をして来られました。東日本大震災以降は、被災地の復興支援活動や静岡県へ避難されている方の支援・交流活動も展開しています。

大勢が集まる夏休みの交流会はもとより、最近では年代や趣味・出身地が同じなどの気の合う仲間数名で過ごす「しゃべり場ランチ」を開催。7月の第一回は手芸を楽しみ、ハーブティランチをしながら故郷の話や静岡での暮らしとのギャップなどの話に花が咲き「前向きに暮らすのが一番」とおっしゃっていたそうです。

避難者が支援への感謝の気持ちを込めて演奏する復興祈念「絆コンサート」も過去数回開催し大好評とのこと。ほかにも、地域のイベントで東北の味や物産販売を出店して、地元の人たちにふるまって東北の味を知ってもらうなど地域とのつながりも大切に活動しておられます。

静岡県では東南海地震の懸念も大きく、地域づくりサポートネットも以前から県内の防災についても力を入れていることから、避難者が震災当時から避難してくるまでの被災体験をお話したり、被災経験に裏付けされたママバックの中身講座なども開催しており、防災のみならず避難者と地元ママたちとの交流の役割も担えてとても有意義な会だなと感じました。

地域づくりサポートネットでも、震災体験ハンドブック「東日本大震災を体験した私たちから伝えたいこと」を作成されました。被災された方の想いを伝えるため、また「忘れない」ため、そして今後起きるであろう大災害に備える参考として皆さんの役に立っていければとの願いが込められた一冊となっています。

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二団体、どちらの冊子もより多くの方のもとに渡りますように。

愛知では、保健師さんによる避難者全世帯への訪問を行います。

こんにちは。生活協同組合コープあいちの向井といいます。私が関わっている愛知県被災者支援センターと名古屋市では、6月末から10月にかけて愛知に避難されている約500世帯の個別訪問を行う予定にしています。大震災・原発事故から4年目になりますが、一人ひとりの今の健康や生活状況を直接伺い、地域でのつながりをふまえて、今後の支援策につなげることを目的にしたものです。愛知県ではこれまでにも、毎年二回全世帯にお米のお届け(飛島村などからお米が提供され、コープあいちがお届け)を行っており、登録世帯の約95%の方とのつながりを維持していますが、健康や生活状況を直接伺う全世帯訪問は初めてのことです。

約200世帯が登録している名古屋市(16区)では6月末から7月中旬までの期間で各区の保健師さんが健康調査として訪問を開始しています。名古屋市以外の市町村には約300世帯が登録していますが、7月下旬から10月にかけて、愛知県被災者支援センタースタッフと保健師さんで訪問します。

現在(7月上旬)は、そのために愛知県の防災担当職員と愛知県被災者支援センタースタッフで、避難登録がある全ての市町村の受入被災者担当部署に出向いて、個別訪問の進め方を打ち合わせています。各市町村の保健師さんの同行をお願いしていますが、難しい場合もあるため在宅保健師さんの協力を呼びかけています。

また、訪問する保健師さんやスタッフ対象の説明会を開催し、訪問目的を確認、そこで出された質問に応えるために、事前勉強会を開き震災・原発事故の影響、愛知への避難のようすや特徴的な声、支援制度などを学んでいるところです。また、名古屋市以外の市町村に登録している方には、訪問に先立って事前アンケートも実施しています。

すでに訪問をうけた名古屋市在住の二人に訪問の様子を伺いました。
福島県から避難しているSさんは「自分の話を聴いてもらえたので一時間半も話しました。地域の医療機関の情報もわかりました。保健師さんに共感してもらえて良かったです」。

栃木県から実家のある名古屋に家族三人で避難しているMさんは「栃木から避難された方はたくさんいますか?被曝の検査してますか?健康に不安はありますか?という話と児童館や図書館などの紹介でした。子育てについてなにかあれば保健所に来てくださいね、ということでした。」

愛知県には青森・宮城・岩手・福島・栃木・茨城・千葉・東京・埼玉・神奈川から避難されており、7月現在で約500世帯、1,200人弱の登録です。この訪問が、一人ひとりのこれからの生活の力につながることを願っています。

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